夜風

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街角のパブ

 

夜中にパソコンと向き合う。

眠気覚ましのために少しだけ開けた窓から冷たい空気が流れ込んでくる。飲む気もないけれどショットグラスに注いだウイスキーが風に揺らいで時々匂いをたてる。デスクに置いたコーヒーの木の葉が揺れる。何年も前に行ったアイルランドのパブにもコーヒーの木が置いてあった。こんな涼しい国でコーヒーの木が育つのかと思ったことを思い出す。頭は別のことを考えながらキーボードを打つ。

肌寒くなって窓を閉める。聴くともなしにつけていたラジオから懐かしい音楽が流れてきてキーボードを叩く指が止まる。

窓から覗いた空に月は見えず、少しがっかりする。