桜の葉が色づき始めていた。それは同時に散り始めていた。緑とオレンジのコントラストが綺麗だと思う。今までに何度も見たことがあるはずなのに。気がつくのはいつも通り過ぎたあとだ。
百数十年に一度という月はたしかに美しかったけれど、月の光で作られた影はもっときれいだった。僕は外に出てしばらく月の影を眺めていたけれど、さすがに寒さに耐えられなくなって部屋に戻った。灯りをすべて消してブラインドを上げてしまえば、また月がき…
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