2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

漁村へ

相変わらずブレーキペダルがキーキー鳴る車に乗って、東へ向かう。 天気がいいせいか国道はひどく混んでいて、ブレーキを踏むたびに車が悲鳴をあげるようで僕は疲れる。 ようやく車が減り調子よく走り始めたと思ったら、そこはもう行き止まりの漁村だった。

ginness

昼前に少しだけ雪が降った。 それはひどく小さな粒をした雪で、ときどき風にあおられて上に向かって舞った。 僕はマウンテンパーカーのフードをかぶり急ぎ足で歩く。 手袋を忘れた指先が冷たい。

ポラロイドa520

ポラロイドa520が壊れつつあって、僕は少しばかりはらはらする。 電源を切るたびに写真の番号が初期化されるようで、その都度新しいフォルダが作成されている。 撮った写真をモニタで確認しようとしても、最初につくられたフォルダに入った何枚かしか写らな…

月の駱駝舎

どういうわけだか台所の片隅に転がっていた小さなさつまいもを水を入れたビアグラスに挿したらいつのまにかすっかりと青々とした葉が繁っていて、なんだかうれしくなって毎日いそいそと水を替えている。 やれやれ、隠居したじいさんみたいだなと思いつつ、そ…

no title

昼前に少しがっかりするニュースが届く。 仕方なく、僕は本を読む。

観覧車

空の真ん中はまだ青く輝いていたけれど、ビルの群れに遮られた地平線はすでに茜色に染まり始めていた。 もう少しで夕暮れが訪れてしまう。 日が沈む瞬間に観覧車に乗っていたいというのが幼い頃の僕の夢だった。 昼と夜の境に観覧車はきっと別の乗り物に変わ…

遠くにある小さきものへ

記憶は川の流れのように同じ方向に流れていく。 あるいは、落日と同じように戻ってくることはない。 ただ、震えるような思いだけが、ときどき甦る。