2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

月曜の朝

ポルトガル | カフェの男 - 2日間伸ばした無精髭を剃る。 月曜はきらいじゃない。

再会

フィンランド | 湖中の家 - 橋の上にはサックスを吹く若者とそれにあわせて踊っている2人組の中年の女がいて、僕はその風景をぼんやりと眺めていた。 空には満月が浮かんでいたけれど、歓楽街のネオン街が眩しすぎて月の輪郭は少しばかり滲んで見えた。 彼…

なくしたもの

フィンランド | Petäjävesi - なくしちゃいけないものが見つからなくなってひどく焦る。 なんのことはなくて、それは机の上においたコースターの影に隠れていただけでわりとすぐに見つかったのだけれど、ひどく落ち着かない気分になる。 今までたくさんのも…

パフェ

アイルランド | パブ - 夕方の5時から酒を飲むのもどうだろうと思うけれど、11時まで飲み続けたあげくにいい歳をした3人が通りに置かれたベンチに座ってパフェなんか食べてるというのもいかがなものかと思う。

午後の電話

フィンランド | Verla - 仕事場の電話が鳴り、なんとなく嫌な予感がした僕は居留守を使う。 ベルが鳴り止んでやれやれと思っていると、携帯が震えはじめる。 僕はディスプレイに表示された名前を確認して、通話ボタンを押す。 「ひょっとしていま仕事場に電…

知り合いの会社が新しい支店を開き、オープニングパーティに呼ばれる。 何も考えずいつものように穴の空いたジーンズに襟がよれたTシャツで出かけ、みんなスーツを着ているのを見て、ちょっと失敗したなと思う。 小さなフラワーアレンジメントを渡し、2人…

行く先

レストランは海のすぐ側にあって、ガラス張りの二階席からは沈みゆく夕陽と行き交う船がよく見えた。 ジーパンなんか履いて来なきゃよかったな、と彼女は言った。 よく似合ってるけど、と僕は言った。 実際その細いジーンズは彼女によく似合っていた。 少な…

彼女の仕事

ポルトガル | 路地 - 友人から一行だけのメールが届く。 「いま仕事中。小学生と鬼ごっこしてるところ」 こないだのメールは、「いま仕事中。フランス人だと思って期待したのに、ふつうのおじさん」だった。 彼女がいったいどういう仕事をしているのか、い…

海へ行く

祭のあとの寂しさは誰も消すことができない。

土間の小舟

ふと思い立って、休みをとる。 どこへ行こう。

空を見る

日本 | 信号機 - たぶん上空には強い風が吹いていて雲がすごい速さで流れていった。 青空が顔を見せたかと思うと、また雲がやってきて、そしてすぐに去っていった。 僕はさびれた駅の前に置かれた小さなベンチにひとり座り、そんな空を見ていた。 ひどく俊…

ハンカチ

アイルランド | 雨宿りのパブ - クリーニングに出そうと思ったコートのポケットにハンカチをみつける。 そういえばあの夜から見てなくてきっとどこかでなくしたんだと思っていた。 ふと、もうずっと昔に、いつもハンカチを2枚持ち歩いていたことがあったこ…

may

ポルトガル | ベンチ - いつだったか、もうずいぶん昔の話。 僕が暮らしていた部屋に花が届いた。 たしか、薔薇と百合とかすみ草だった。 僕に届いたわけではなく、僕の部屋に遊びに来ていた女の子に届いた花だった。 部屋には花瓶なんかなくて、陶器製のビ…

Hameenlinna

フィンランド | Hameenlinna - バスに揺られてチャンドラーを読んでいると携帯が震えた。メールには、「こっちですんごくいやなことがあったから、そっちにごうりゅうする。どこ?」とあった。彼女がひらがなでメールを書いてくるのはひどく機嫌が悪いとき…

Drumlane

アイルランド | Drumlane Monastery - 古本屋で買ったレイモンド・チャンドラーには煙草の匂いが染み込んでいて、ページをめくるたびに僕の鼻をくすぐった。