2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧
石造りの橋を渡るとパブがある。 そのパブの先で左に曲がった小道を入る。 蔦の絡まった建物が君の泊まる宿だ。 男は僕にそう教えてくれた。
昼寝をして夕方に目が覚める。 空気はまだ熱い。
無為の日々は続く。
9月のおわりの海で泳ぐ。 ときどき木陰で休み、アイスクリームを舐める。 無為な時間が過ぎていく。
遠くの島に行こう。
一口で食べ切れてしまうくらい小さなあんぱんを2つ買う。 パンの一かけらを近づいてきたスズメに投げて、あとは一人占めする秋の良き日。
時計の針はまだ11時をまわったばかりだったけれど、めずらしく朝早く起きた僕は腹が減っていて、ピザとビールを頼む。 塩気のきいた薄いピザはピルスナーによくあった。 窓からは海が見えて、なかなか素敵な休日だった。
古本屋に行って10冊ばかり買い込む。 おかしな言い方だけれど、古本にも鮮度があるように思う。 買ったそばから読みあさる。
暮れ始めた街を路面電車が行く。
秋はいつだって突然に僕たちの目の前に姿を現して、どこかに何かを忘れてきてしまったような気分にさせる。 実際には毎日多かれ少なかれ何か忘れ物をしながら僕たちは生きているわけで、秋になろうと春になろうとそれが変わるわけでもなく、雲が流れるように…
ポルトガルの空と壁は神様が一組のものとして作ったんだといわれたら、僕は信じる。
ひどく早く目がさめる。 やることがたくさんある気がするのに、何から手をつけていいのかわからない。 そんな日が続く。
その像は、廃墟になった教会にぽつんと置かれていた。 ◇◇◇ ネクタイを締めた僕を見て彼女は笑った。 僕は通勤帰りの人々が作ったATMの長い列に並んでいて、彼女がにこにこ笑いながら近づいてくるのに気づいていたけれど、何がそんなに楽しいんだろうとぼ…
ギネスの泡が沈むのを待つあいだに。
3時間、ほぼ休みなくしゃべり続け、ひどく疲れた。
何かを見るための照明ではなくて、灯りそのものに見入ってしまう照明がある。 そういうことを、僕らはしばしば忘れがちだ。
廃墟に咲く花の上を飛行機がいく。
移動式遊園地は夜の10時を過ぎても多くの子どもたちで賑わっていた。 大人たちはチケットやポップコーンやアイスクリームのために列に並び、子どもたちは喜々としてそれを待っていた。 僕は車止めに腰掛けてぼうっとそんなようすを眺めていた。
古い街を歩く。 僕たちは時間と空間を別々にとらえることはできない。 固有の空間には固有の時間が存在している。 固有の空間は地域と呼ばれ、固有の時間は歴史と呼ばれる。 地域とは人為的に区切られた空間ではなく、歴史とは過去のことではない。 我々の生…
岬の先では男がのんびりと釣りをしていた。 このへんに城があると思うんだけど知りませんか?と訊ねた僕に、黙って指を指した。 何枚か写真を撮って戻ってきても、男はさっきと同じ姿勢のまま肘をついて浮きを眺めていた。
そんなに毎年アイルランドばっかり行って何してるわけ?と彼女は言った。 うーん、と僕は言葉に詰まる。 うーん、石を見たり。 見たり?それから?と彼女は言う。 ビール飲んだり、と僕は言う。 ふーん、と彼女は納得いかない風に頷いて、質問はそこでおしま…
靴を脱ぐという行為が何かを象徴するかなんて、知らないけれど。
捨て去られた教会のドアを開くと、質素な木造りの椅子があった。 使われなくなってそれほど時間が経ったとは思えない。 人々が去っていった理由はわからない。