2016-01-01から1年間の記事一覧

日暮れ前

熱が出て昼間からベッドに入っている。天井を眺めながら、僕の部屋ではない気がしている。部屋どころか自分自身ですら、僕のものではないように感じる。でも思い起こせば、それは10代の頃からずっと続いてきたことだった。

石の上の花

アイルランド/石の上の花

逃げる

夜の街を歩く。ときどき思い出したように小さな雨粒が落ちてくる。 ずっと開けないメールがあることを思い出す。小さな子どものように目の前から消えてしまうことと無くなってしまうことが同じだと思えたら楽だろうなと思う。 相変わらずいろんなものから逃…

また変な時間に眠ってしまって...

また変な時間に眠ってしまって目が覚めたのは夜中の2時半だった。相変わらず嫌な夢を見ていた気がする。 シャワーを浴びて少しだけすっきりしたけれど、仕事をする気にも、本を読む気にもなれず、結局冷蔵庫を空けてビールを取り出す。非生産的な一日の非生…

古いアルバムを聴くのは決まって夜中だ。 本棚から引っ張り出してきたCDのケースには少し埃が積もっている。 あるいは、それは記憶に積もった時間なのかもしれない。

嫌な夢で目が覚めて、いつの間にかソファで眠っていたことに気づく。 首が変なかたちに曲がっていたのか、ひどく肩がこっている。つけっぱなしだったテレビだけが暗い部屋を照らしている。時間の感覚が少しおかしくて、時計を見ても今が夜なのか夜のふりをし…

5月の日曜

いつ以来か忘れてしまったくらいに天気のいい日に休みが取れて、外に寝転がって昼間からワインを飲みながら本を読む。風は心地よいというには少し強く、指で押さえたページがパラパラと音をたてる。 本を読むのに疲れてそのままうたた寝をする。目が覚めたの…

午前1時20分、ベルが鳴る

電話が鳴ったのは夜中の1時20分だった。たまたま手に持って操作していたiPhoneに表示されたのはずいぶん懐かしい名前だった。彼女から電話がかかってきたのなんてもう15年以上も前のことだった。 そのころ彼女はときどき思い出したように電話をかけてきた。…