レイトショー

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レイトショーには、僕のほかには2人の客がいるだけだった。

平日の夜で、外はひどい雨が降っていた。

ポップコーン売り場の女の子は暇を持てましてくるくるまわる機械を眺めていた。ソファに座った僕も同じようにいつまでもまわり続ける機械を眺めていた。なんだか映画よりもその機械の方がおもしろい気がしてきてそのままずっと座っていようかと思う。雨降りの夜に回り続けるポップコーンマシン。誰かそんな映画を作ればいいのだ。

 

 

日曜の夕方

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日曜の夕方がわりと好きなんだけれど、彼女にとってはたぶん消えてしまいたいほど嫌なんだろう。連絡しようと思うけれど、どんな風に声をかければいいかわからなくて、ぼんやりと考えながら遠い国のラジオなんて聞いている。言葉はほとんど聞き取れないけれど、ざわめきとリズムが心地よかったりする。彼女も自分と流れていく時間と消えていく言葉にだって楽しみはあるということを感じられたらいいなと思う。

日暮れ前

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熱が出て昼間からベッドに入っている。天井を眺めながら、僕の部屋ではない気がしている。部屋どころか自分自身ですら、僕のものではないように感じる。でも思い起こせば、それは10代の頃からずっと続いてきたことだった。