約束

f:id:textile:20140302023747j:plain

聖堂と半月/パリ

 

すでに日はほとんど暮れていて、きれいな半月が顔を覗かせていた。

月が出ていることにしばらく気づかずにいた。下ばかり向いて歩いていたせいだ。

月を見て、ずっとむかしに約束したきり果たせていないことを思い出す。

約束した人のことはもうあまり覚えていない。

覚えているのは約束した日に月が出ていたことだけだ。