匂い

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4時までウィスキーを飲んでいたせいで、朝の光を浴びても僕の頭はぼんやりしていた。
紅茶を入れながら昨日のことを思い出そうとしたけれど、僕の記憶は橋の架かっていない島々のようなものだった。
椅子に掛けた上着がずり落ちそうになっている。昨日帰ってきた時のままだ。そのバランスがモダンアートみたいだなんて思いながら上着を手に取ると、そこからは彼女の部屋の匂いがした。
それは、うさぎが走り回っている草原のような香りだった。