2006-07-02 夏はまだ来ない 日々 まだ夏というには少し早いころ、僕は山あいの小さな町を訪ねた。とくに目的があったわけではなく、ただ電車に乗って少し離れたところまで行ってみたくなったのだ。 80年代には観光地としてにぎわったその町は今では少し寂れた感じを漂よわせていて、平日の通りでは幾人かがゆっくり散歩をしているだけだった。 緑色の稲が伸び始めた水田の上を吹く風に揺らされた風鈴は小さな音を奏でている。 夏はまだ来ない。