2005-09-28 土曜の午後の紅茶 物語 「僕は土曜日の午後の紅茶が一番好きだな。透き通ってるから」 「透き通ってる?なにが?」 「色も味も香りも。空気も音も、なにもかもさ。そうは思わない?」 「少しだけわかるような気はする」 「少しだけ?」 「そう、少しだけ。だって私はあなたじゃないもの。すべてをわかることなんてできないと思うの」 「でも少しはわかる?」 「うん、少しはわかる。少しじゃ不満?」 「そんなことはないさ。十分すぎるくらいだよ」 「ねぇ」 「なに?」 「お茶にしない?」 「いいね。僕もそう言おうとしてたところさ」