020122

 送られてきた絵はがきはシャガールのサーカスだった。

 丸い舞台の上で三人の軽業師が自転車に乗っている。ひとりは自転車を操り、ひとりはサドルの上に立ち、そしもうひとりは二人目の頭の上で逆立ちをしている。サーカスのテントは青い闇に包まれていて、ただ軽業師だけが光を浴びている。舞台のすみではピエロが大きな輪を回しながら踊っているが、観客が見つめているのはスポットライトのなかの軽業師だけだ。

 私にはサーカスは最も悲しいドラマのように思える、とどこかでシャガールは書いている。そうかもしれない。いつだって真実と呼ばれるものは対極に見えるもののなかに含まれているのだ。