010609

 壁を這う緑を眺めながら彼女は「いやな夢を見るの」と言った。飛行機が落ちるの。私は地上でそれを見ている。飛行機は暗い空からこっちに向かってくる。どこにも逃げ場がない。あなたと二人で手をつないだままうつぶせになってやりすごそうとしたはずなのに、いつの間にか私は一人で冷たい土の上に横たわっている。いつもそんな夢なの。そう彼女は言った。僕は空を見上げた。まもなく雨が降り出そうそうだった。