沈黙

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島の家々

「久しぶり、最近どう?」と僕は訊いた。

彼女は「入院してるんです」と答えた。

「いつから?」
「3週間くらい前」

そっか、と僕は言った。それ以外の言葉が浮かばなかった。

そのまま何十秒かが過ぎた。シベリアの冬みたいに長い沈黙だった。僕の口から出たそっかという言葉だけが空中に残ったまま行き場もなく漂っていた。