百数十年に一度という月はたしかに美しかったけれど、月の光で作られた影はもっときれいだった。
僕は外に出てしばらく月の影を眺めていたけれど、さすがに寒さに耐えられなくなって部屋に戻った。
灯りをすべて消してブラインドを上げてしまえば、また月がきれいに見えた。
首をひねって振り返れば、僕の影ができていた。
なんだか偽物みたいな影だった。