想う。

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月とタワー

雪が舞っていた。本を読む目を上げて、そのことに気づく。
ほんの2時間前には青い空が広がっていた。青い空には薄く小さな月が出ていた。
雪。僕は早くそれを伝えたいと思う。だけど伝えるべき相手はもうここにはいない。
それでも、伝えたいと強く思う。3月の雪のはかなさや、吸い込まれるような空の青さや、弱く美しい月を。

僕の口から出る言葉は、いつだってちぐはぐだ。言うべき言葉は出て来ず、言わなくていいことばかりが溢れ出す。本当に伝えたいことはひとつだけだ。それはずっと変わらない。