押し入れからテレビを引っ張り出して何かに取り憑かれたように見続けたあげくに周りの空気が薄くなってきたような気分になって、僕は窓を開ける。
春のにおいを含んだ冷たい空気は心地よく、しばらくそのままぼんやりする。
ひどくいやな気分はなかなか去っていかず、いったいどうしたらいいんだろうと焦る気持ちだけがぐるぐると渦を巻く。
唐突にものを減らそうと思う。
できるかぎりものを抱え込まない生活をしよう。
失っても平気なように。
失うものがないように。