パリのアインシュタイン


パリ | アインシュタイン
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4月に村長に就任したという男が出てきて、名刺を交換する。
色あせたジーンズとポロシャツに踵のすり減ったブーツという格好は自分でもひどいと思ったけれど、まさか村長が待っているなんて思わなかったから、そこは目を瞑ってもらおう。
村長は新しく開発したという特産品ブランドを見せながら滔々と説明する。
僕は適当な相槌を打ちながら時々窓の外を眺める。
眩しい光のなかを向日葵が揺れている。
雨が降ればいいのにと唐突に思う。