記憶の構成


フィンランド | 通り
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ときどき彼女の顔が思い出せなくなった。
輪郭や瞳や口元やパーツはきれいに思い浮かべることができるのに、顔全体を思い出そうとするとぼやけたようになってうまく像が結べない。
そんなときは音楽を聴いた。
昔聴いていた曲をかけても彼女の顔がきれいに浮かんでくるわけではなかったけれど、フロントガラスに当たる雨の音とか公園で見つけた落ち葉とかそんなものがふと思い出された。
そうやって思い出を再構成しながら僕は生きてきた。