相談という名の愚痴


仕事場の電話が鳴る。
意外な声が聞こえてくる。
僕は飲みかけのコーヒーをデスクの上に置いて、彼女の言葉に耳を傾ける。
彼女の話は、僕が15秒に一度ほど挟む相槌にうながされながら、20分ほど続いた。
どこにも出口のない相談だった。
たぶん世の中ではそういうものを愚痴というんだろう。
電話を切ったときにはコーヒーはすっかり冷めてしまっていた。
新しく入れ直そうかとちょっと考えたけれど、結局残ったコーヒーを流しに捨て、それから歯を磨いた。
たいていの悩みごとは歯磨きをすれば軽くなると言ったのは誰だったか。
みんな歯を磨けばいいのだ。