観覧車


空の真ん中はまだ青く輝いていたけれど、ビルの群れに遮られた地平線はすでに茜色に染まり始めていた。
もう少しで夕暮れが訪れてしまう。
日が沈む瞬間に観覧車に乗っていたいというのが幼い頃の僕の夢だった。
昼と夜の境に観覧車はきっと別の乗り物に変わり、僕が降り立つのは別の世界になるはずだった。
だけど結局僕はずっとどこにも行かず同じ場所にとどまっている。
それでも僕は観覧車に乗り、観覧車は回る。