no title


紅茶にたっぷりの蜂蜜を入れる。底のほうに溜まった蜂蜜をよくかき混ぜて溶かし、ウイスキーをたらす。香りは湯気と一緒にゆっくりと広がり、そのとき僕はすでに眠くなっている。昼間見た石像やどこからともなく聞こえてきたピアノの音やレストランの裏通りの匂いやそんなものが頭をよぎった気がするけれど、それらはみんな逃げ水のようにぼんやりして、追いかけようとすると姿を変えやがて消え去っていく。