鳥かご

 天井からは幾十もの鳥かごが吊り下げられていた。大人が立ったまま入れそうなものもあり、キャラメルのおまけにでもついてきそうなものもあった。底一面に薔薇のレリーフが彫られた巨大な真鍮製の鳥かごがあり、竹ひごで編んだシンプルな直方体のかごがあり、とても実用的だとは思えない小さな陶器製のかごがあった。ほとんどは一本の鎖で天井からぶら下げられていたが、巨大なものはさらに斜めに伸びた鎖で補強されていた。天井には頑丈そうな板が張られており、床にも同じような板が張られている。違うのは、床の上につくられた埃の地層と天井の鍵フックだけだった。埃はすべての鳥かごにも同じように積もっており、「時は神と同じく平等だ」という昔の物理学者の言葉を僕に思い出させた。