名刺


朝から晩までずっと会議と打合せという日がたまにあって、まさに今日がそんな日で、僕は少しくさってしまう。熱くて濃いコーヒーを飲んでも頭の奥の少ししびれたような感触はどこにも去っていかず、秋の冷たい空気も肌に浮かんだ脂を流してはくれない。
今日、新しい名刺が届いた。名前が印刷された小さなカードを配るたびにまた少しずつ知り合いが増え、少しずつ何かがすり減っていく。それは靴の踵かもしれないし、本を読む時間かもしれないし、あるいはささやかな僕のプライドかもしれない。もっと別の何かなのかもしれない。
でもまあそれも悪くはないと思う。そんななかからひょっこり芽を出すものがあるかもしれないのだ。