鳥雲

 鳥雲というのは鳥のかたちをした雲のことだと長い間思い込んでいた。だけどそうではなく、実際は雲の姿をした鳥のことをいうのだ。僕がそのことに気づいたのは昨日の午後のことだった。たまたま窓の外を覗いたときに、鳥雲は空から嘴を伸ばして海の水を飲んでいた。たぶん喉が渇いてたんだろう。塩水なんか飲んだらあとでもっと喉が渇くような気がするけど、大丈夫なんだろうか。そんなことを考えていたら、鳥雲は僕のことをジロリと睨んでゆっくりと空に戻っていった。せっかく心配してあげたのに、いけ好かないやつだ。まったく。