寝坊した穴グマ

 寝坊した穴グマが僕のところにやってきて、ちりとりを貸して欲しいと言った。ちりとりなら貸してもいいけど寝坊するのはよくないことだと僕が言うと、彼はまったく面目ないと頭を掻いた。その姿はものすごく反省しているように見えたので、僕は話題を変えてちりとりなんていったいどうするんだいと訊ねてみた。寝坊した穴グマは掃除が大嫌いで、いつだって部屋の中を散らかしている。彼がちりとりを使うところなんて想像もできない。釣りをするんだ、お腹が減ったからね、と彼は答えた。釣り?ちりとりで?僕は言った。まあ、鍋つかみでもいいんだけどね、あんまり贅沢も言えないだろう、寝坊しちゃったしさ、と彼は言った。よくわからなかったけど、僕がちりとりと鍋つかみを渡して、とにかく寝坊しちゃだめだよと言うと、彼は頷きながらうれしそうに帰っていった。