031219

 明け方の夢の中で、僕はセーターをなくしてしまってひどく焦っていた。コットンで編まれた紺色の安いセーターだ。そんなものどこでだって買える。特に思い入れのあるものでもない。けれど、僕は必死で部屋中を探している。クローゼットの中からはセーターの代わりにいろんなものが出てきた。古い絵本や無くしてしまったと思っていたリモコンや琺瑯の鍋。どうして鍋がクローゼットに入っているのか不思議に思ってもよさそうなものだけれど、夢の中だから僕はいらないものは捨てなきゃと思っているだけだ。それから机の引き出しや本棚を調べはじめたのだけれど、それも夢だからしかたがない。そうやって次々にものをひっくり返していっても、いつまでたってもセーターは出てこない。やがて目が覚めた。ひどく寒い朝だった。