030404

 昔、といってもそんなに遠くない昔、僕はユートピアの存在をわりあいまじめに信じていた。将来、といってもいつになるのかよくわからない将来、そんな世界がやってくるんじゃないかと漠然と感じていた。時代遅れだとはわかっていたけれど、まあそれでもいいじゃないかと思っていた。霞んだ文字を見てそんなことを思い出したのは、きっとあれから自分で思うよりずっと年をとってしまったからかもしれない。