ジョンとポール

 ストロベリー・フィールズの真ん中には小さな食堂がある、と彼は言う。だってストロベリー・フィールズには誰も住んでないんだろう、と僕が問うと、だってペニー・レインにだって床屋があるんだろう、と彼は問い返す。もちろんペニー・レインには床屋がある。銀行マンと消防士だっている。じゃあいいじゃないか、ストロベリー・フィールズは素敵なところさ、と彼が言う。僕はそれを聞いて、ふうんと思う。草原の中の小さな食堂、何も煩わしいものはないストロベリー・フィールズ。ところでその食堂はおいしいのかい、と僕は訊ねる。当然さ、と彼は答える。だってストロベリー・フィールズだぜ、と言う。僕は再び、ふうんと思う。草原の香りとおいしいオムレツ。ストロベリー・フィールズ、たしかに素敵な場所だ。